大学入学共通テスト・英語(リーディング)について

全体所感

語数の増加

語数の増加がいちばん影響の大きい変化です。全体で1,000語ほど増えています。

これは、ゆっくり読んで15分ほど、スムーズに読んでも8分は必要とする量です。

センター試験は、短時間で回答できる文法・語彙の問題がありました。

共通テストでは、全ての設問で、本文を読み、設問の趣旨を理解する必要があります。

したがって、問題解答時間も長くなる。

つまり、受験生はかなりスムーズに文章を読み、問題に答えていく必要があります。

 

全問読解問題ということ

英検やセンター試験の問題の長文問題に必要な能力はシンプルです。

本文と設問の英語表現で共通するものを見つけ選ぶ。

これでおおよそ正解を導けます。

それでも、センター試験の第5問などは、物語やエッセイなど、情景や心理を描写する問題が出題され、普段の授業でノンフィクションのアカデミックな内容を扱うことの多い受験生は混乱していたものです。

共通テストのリーディングは想像力を必要とします。

文章から得た情報から具体的な場面を想像させる問題、複数の情報を一つにまとめあげる必要がある問題が出題されているからです。

多くの予備校サイトや解説でも述べられていますが、共通テストの問題は、実生活に結びついた表現や文章を理解する能力を試す、という目的で設計されています。

こうしたした試験に対しては、テクニックとして解法を身につけて、試験への対応力だけを高めるような学習では対応できません。

 

共通テスト対策に何をすべきか

必要な能力

英語を読むスピードを上げる。

日本語を使わずに英語から状況を想像できるようにする。

英語の短期記憶能力を上げる。

これらが、共通テストの英語対策として身に付けるべきことです。

英語を読むスピードは、長文化した入試に不可欠です。

日本語を使わずに英語から状況を想像することも、同じです。

英語を読み、日本語で考え、理解し、再び英語の設問を読んで回答を考える。これは効率の悪いプロセスです。問題を解くことに集中できません。

普段使っている日本語の思考回路とは別に、英語の思考回路を作りましょう。

英語を読み、英語で考え、英語で答えることを可能にするのです。

英語の短期記憶能力は、英語を読んだり聞いたりした際に、どれだけの情報量を留めておけるか、という能力です。

英文を読んで、ある集団の行動スケジュール、バスの時刻表、を大まかに記憶しながら、設問や選択肢を読むことができるか。

読んだ内容を記憶しつつ、読み進められなければ、設問と本文、選択肢を何度も行き来することになり、解答効率が悪くなります。

短期記憶はリスニングを解くためにも必要です。

長い文章を聞いた後で、問題を解くために必要な情報を覚えておく能力は、高得点を狙うのに必須です。

 

有効なトレーニング

  • 文法学習 

語彙・文法問題が無くなったことで、文法の学習が不要になったと誤解する人もいますが、それは間違いです。

むしろ、英検2級レベルの文法は単に覚えるだけでなく、感覚レベルまで落とし込んで身に付ける必要があります。

例えば仮定法。

文法の問題であれば、「もし〜すれば、〜するだろう」の意味で、現実に起こり得ない事柄に対しては時制を過去にずらし、仮定法とする。という知識で正解を導けます。

しかし、分量の多い読解問題を解くには、本文のwouldやcouldを読んで、自然と「本当はそうじゃないけれど、、、」の意図を読み取れるようにしておく必要があります。

共通テストのリーディング、リスニングを解くスピード感で、必要な文法の意図するところを自然に理解していくには、文法事項として暗記したものを、繰り返し復習する必要があります。

文法の参考書を繰り返し解くだけでなく、長文、リスニングの問題を解く中で、たくさんの文法に出会い、復習を重ねましょう。

  • 語彙力の向上

難意語を覚えることよりも、初級〜中級の単語を深く理解しておくこと。

ストレスなく英語を理解するためには、本文に出てくる語彙の暗記は絶対です。

さらに、前述の英語の短気記憶力を上げるには、単語を和訳することなく、イメージとして掴めるレベルで理解しておきたいですね。

共通テストの問題は、語数は多くとも、そこまで難解な単語は出題されていません。

英検準1級レベルや難関大レベルの単語を無理にたくさん覚えようとするよりも、準2級〜2級レベルの単語を自由に扱えるようになりましょう。

  • 音読

読むスピードを上げるには、一つの長文を繰り返し学習しましょう。

文法・語彙・和訳を理解した長文を、何度も音読し、速いスピードで英語の情報を処理することに脳を慣れされる必要があります。

ノアのリーディングクラスでも実践しています。以下に参考例としての手順を記しておきます。

・問題を解く

・答え合わせをする

・誤読した箇所を正す

・和訳を確認する

・文法事項・熟語などを確認する

・サンプル音声とともに音読する

・徐々に音読スピードを上げていく

音読しながら、おおよその意味を理解できているかを意識することが大切です。

知識を実践に用いることができるようにトレーニングしましょう。

  • ディクテーション

英語の音声を聞いて、文章を書き取るトレーニングをディクテーションと言います。

何を聞き取れていて、何を聞き取れていないのか、また、聞いたことを覚ようとすることで、英語の情報を英語のまま覚えておく能力が発達します。

  • 要約

ディクテーションにも通じることですが、リーディングやリスニングで得た情報からメモを作成し、要約するトレーニングをしましょう。

英語の情報を扱う能力が発達します。

英語で要約する過程で、英語語彙や構文を辞書で調べる必要が出てくるでしょう。

英語の短期記憶や、英語表現の言い換え、また語彙の学習のためには、インプットの学習に加え、アウトプットの学習をすることで効率よく記憶できます。

自分で英語の文章を書くときに使用した表現は、記憶の定着が良いのです。